融資の際の重要財務指標 キャッシュフロー版当座比率

当座比率(注)は、別名「銀行比率」と呼ばれ、銀行が非常に

重要視する指標ですが、もっとシビアに企業の安全性を

見るのに適した指標が有ります。それが、

キャッシュフロー版当座比率です。

キャッシュフロー版当座比率は、営業活動で得たキャッシュで

流動負債をどれだけまかなえるかを見ます。

通常の当座比率と同じで数値が高いほど

支払能力が有り、安全性が高いと判断されます。

よりシビアに企業の安全性を見れる点で、

金融機関は、キャッシュフロー版当座比率をより重視

していると言えるでしょう。

従って、企業にとっても非常に大事な指標となります。

(注)通常の当座比率については、こちらをご覧ください。


算式】

キャッシュフロー版当座比率

=営業キャッシュフロー÷流動負債×100

(算式の数値が高いほど支払能力が高いと判断されます。)

では、具体例でご説明します

【具体例】

A社は、前年度に比べて当座資産(注)が増加している。

増加の主たる原因は、売掛金の増加である。

一方、売掛金の増加の主因が不良債権化であった為、

売掛金の入金が減少し、キャッシュ(現金・預金)になる金額が、

前年度に比べて減少した為、

営業キャッシュフローは、前年度比減少している。

(注)当座資産…流動資産から在庫や貸付金を除いたもの
          (売掛金は、当座資産に含まれている)

〈A社の主な財務数値〉                (単位:千円)
                   前年度        当年度
営業キャッシュフロー     72,313       61,235

当座資産           157,371       181,552

流動負債           195,186       211,632

(注)売掛金は、前年度比11,305千円増加している。


では、当座比率から見てみましょう。

【算式】当座比率=当座資産÷流動負債×100

〔前年度〕当座比率=157,371÷195,186×100
            =80.6%

〔今年度〕当座比率=181,552÷211,632×100
            =
85.7%


今年度の方が当座比率が高くなっています。

これは、売掛金が増加して当座資産が前年度に比べて

増加した為です。このように、
不良債権の売掛金が

増えた場合等にも、当座比率が高くなってしまう事が

通常の当座比率の限界であると言えます。

通常の当座比率だけを見ますと、今年度は前年度に比べて

支払能力が上がっていると誤った判断をしてしまいます。



では次に、キャッシュフロー版当座比率をみてみましょう。

【算式】キャッシュフロー版当座比率

=営業キャッシュフロー÷流動負債×100

〔前年度〕キャッシュフロー版当座比率

  =72,313÷195,186×100
  =37.0% 

〔今年度〕キャッシュフロー版当座比率

  =61,235÷211,632×100
  =28.9%


今年度のキャッシュフロー版当座比率は28.9%と

前年度比減少しています
。 

稼いだキャッシュ=営業キャッシュフローが減少したので

当年度は、キャッシュで支払う能力が落ちたと言う事が

このキャッシュフロー版当座比率で明らかになります。

このように、売上債権の増減に左右されずに

より精度が高く、支払能力を判断する事が出来るのが

キャッシュフロー版当座比率なのです。

ですので、金融機関が非常に重視します。

また、自社の支払能力の客観的基準としては勿論ですが、

得意先の債権管理の判断基準としても、この

キャッシュフロー版当座比率を、ぜひご活用下さい。